やりとりを分析する方法
前の投稿に、詐欺師が最初に送るメッセージの特徴を紹介しました。この投稿では、詐欺師が実際に送ったメッセージをいくつか分析します。
分析のアプローチは、詐欺師のプロフィールを見分ける方法と同じですが、今回は「プロフィール」ではなく「メッセージ」をみるので、パターンが少し違います。ここで分析のアプローチをもう一度手短に説明します。 国際恋愛詐欺のメッセージを見分けるためには二つの確認方法があります。
- 内容チェック
- 英語チェック
内容チェック: 話の内容が国際恋愛詐欺の定番設定かどうかの確認です。
英語チェック: ピジン英語(くだけた英語)で書かれているかどうかの確認です。また、相手が自分はアメリカ人だと言っている場合、アメリカンイングリッシュで書いているかどうかを確認することも重要です。
それでは、実際の国際恋愛詐欺のやりとりを分析しましょう。
詐欺師が送る定番メッセージ
まず、国際恋愛詐欺の定番のメッセージです。
Hello Dear,
My name is Mark Hannibal. I'm a handsome man from USA.
I'm new in this site and i would like to be your friend.
Also I have an important issue I would like to discuss with you.
Please contact me by E-mail: sagishi(A T)gm ail(D OT)co m
Kindly email me today for more information.
Mr. Mark Hannibal.
内容チェックの問題点
- 初メッセージでメールアドレスを教えている
- 氏名を公開している
- 初心者と言っている
- 「ここでは言えない話」がある
- 大急ぎと言っている
初メッセージでメールアドレスを教えている
最初のメッセージにメールアドレス(「sagishi(A T)gm ail(D OT)co m」)を載せるのは詐欺師です。
詐欺師は、すぐに連絡先を交換したがります。詐欺師はたくさんの相手とやりとりをしているので、たまに失敗して詐欺がバレてマッチングアプリの経営者に報告されます。その時、アカウントが凍結されると、誰とも連絡がとれなくなるので、なるべく早くメールアドレスやLINEアカウントを交換したいわけです。
また、マッチングアプリの多くはメールアドレスの交換を禁止しているので、詐欺師は「@」マークを「(A T)」と書きます。このように記入すると、アプリのメールアドレス交換防止の機能に引っかからないので、あえてこのような書き方をしています。これもまた詐欺のサインです。
メールアドレスの交換を禁止していないアプリでこのような書き方をしている人は間違いなく詐欺師です!
氏名を公開している
フルネーム(「Mark Hannibal」)を出している。詐欺師が信用を得るための作戦です。
アメリカでは、マッチングアプリには、プライバシーのため、名前だけを載せるのが基本です。フルネームは、仲良くなってから交換します。
初心者と言っている
I'm new in this site
和訳: 「サイトに登録したばかり」
詐欺師は、「自分が初心者」のフリをします。そして同じく初心者を探します。初心者だとあまり怪しまれないからです。
「ここでは言えない話」がある
Also I have an important issue I would like to discuss with you.
和訳: 「ここででは話さない重要な話がある。」
ここで話せない理由は、多くのマッチングアプリやデーティングサイトはメッセージ内容に詐欺師がよく使うキーワードが入っていないかをチェックしているからです。詐欺師が「アフリカに送金してほしい」話を書き始めたら、自動的にアカウントが凍結されるかもしれません。
また、アプリ内で詐欺師が相手を騙すような話をすると、報告された後、証拠が残っている。詐欺師は証拠を残したくないので、なるべく早く連絡先を交換し、別の手段でやりとりすることを提案します。
大急ぎと言っている
Kindly email me today
和訳: 「今日中に連絡ください。」
急がせようとしているのが詐欺の特徴の一つです。詐欺師は、プレッシャーに弱い人を探しています。「事件に巻き込まれた、どうしよう?」とパニックに落ちる人だと、送金させやすいからです。
英語チェックの問題点
- 「Dear」と呼ぶ
- 米国・英国は「the」が必要
- 「私」を意味する「I」は必ず大文字!
- 自分を「ミスター」と名乗らない
「Dear」と呼ぶ
Hello Dear
和訳: 「ハロー、ハニー」
今の時代、男女の交際においてこれは死語です。挨拶に使うのは詐欺師ぐらいです。ただし、これはあくまでも「Hello Dear」という決まり文句の話です。手紙の始まりの「Dear」+「名前」のような書き方はやや古い書き方ではありますが、詐欺のサインではありません。
米国・英国は「the」が必要
from USA
from the USA
和訳: 「アメリカ出身」
解説→ 米国出身と言っているのに、冠詞が抜けています。アメリカで育った人なら、このような間違いはしません。
冠詞: 英語では「a」と「the」になりますが、これは日本語にない品詞で、英語を母国語としない人を悩ませるものです。しかし、英語を母国語とする人が間違えることは極めて少ない。
「私」を意味する「I」は必ず大文字!
i would like to be your friend.
I would like to be your friend.
和訳: 「あなたの友達になれば良いなと思っています。」
解説→ 代名詞の「I」が小文字になっているのは詐欺師のよくするミスです。今の時代スマホで文字を入力する時、スマホの言語が英語であれば自動的に直してくれます。しかし、アフリカの詐欺師の多くはスマホが英語以外の言語になっているので、このようなミスが起こります。
自分を「ミスター」と名乗らない
Mr. Mark Hannibal.
Mark Hannibal
自分に対して「Mr.」+「氏名」を使うのは不自然です。「初めまして、私はマークさんです」のような日本語のミスです。
Hannibal.
また、署名の苗字の後にピリオドを打つのは間違いです。これも詐欺の証拠です。
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エド先生のプロフィール
- 2冊の著者
- 恋愛や学習のコーチ
- ボキャブラリーの長期記憶を研究中