アフリカにも英語圏
「英語圏」には、アメリカや英国の他に、ガーナやナイジェリアも入ります。どちらも国内でさまざまな言語が話されていますが、国の公用語が英語です。
だから、ナイジェリアやガーナの詐欺師はアメリカ人のフリをすることができます。ただ、彼らはアメリカでは絶対使わない言葉を使うので、言葉遣いに注意すれば、詐欺師を見極めることが可能です。
詐欺師の英語、見極められる?
次の会話文を読んだ時、違和感はありますか?アメリカ人男性と日本人女性が、まだお互いのことをよく知らない段階の会話です。
上記の会話の男性は「アメリカ人」と名乗っていますが、実は詐欺師です。彼がアメリカ人ではないとバレる発言、分かりますか?
詐欺師の多くはピジン英語を喋る
アメリカ人ではないことがバレる発言、それは、最後の一行、「I appreciate!」です。これはピジン英語という不自然な言い回しで、ネイティブスピーカーは絶対に口にしません。(後ほど、このような言い回しを詳しく説明します。)
詐欺対策としては、知り合ったばかりの頃に彼が嘘つきだと気づくことがベスト。話し始めたばかりなら、迷わずにブロックすることができます。勝手に「アレ」の写真を送る男をブロックするように。
しかし、英語力が不足していると、解読自体に時間がかかり、細かいミスになんて気づくはずがありません。さらに、正確な意味がわからないので、「このような意味かな?」と推測して、自分に都合の良い解釈をします。
このような間違えた解釈は、詐欺師に隙を与えてしまいます。ネイティブスピーカー相手ならすぐバレるようなことなのに、英語を母国語としないだけで、騙されやすくなっているのが事実です。このため、英語力に自信がない人ほど、遠距離国際恋愛は注意深く進むべきです。
遠距離は、文字のコミュニケーションがメインです。実際に一緒に出かけられない、お互いの顔もあまり見られない、声もあまり聞けない…このような状況だからこそ、文字が大事になってきます。英語力が不足していると、その分リスクが高くなります。
この例から分かるように、一定以上の英語力は、あなたを詐欺から守ります。
ピジン英語とは?
ピジン英語を聞いたことありますか?「ハト」の「ピジョン」と関係ありません!
ピジン英語: 英語を母国語としない人が使う、最低限のコミュニケーションをとるためのくだけた英語のことです。「Pidgin English」
アフリカの中では、ナイジェリアやガーナが英語を公用語にしています。しかし、そこに住んでいる人々はいろいろな言語を喋っています。よって、すべての人は英語が得意なわけではありません。そのため、シンプルな英語が生まれました。これがピジン英語です。
それぞれの国の英語について
アメリカ英語とイギリス英語でも言い方の違うものがあります。たとえば、「クッキー」は有名な例です。
英語 | 言い方 |
---|---|
アメリカ英語 | Cookie |
イギリス英語 | Biscuit |
このように、アメリカ英語とイギリス英語では、同じものでも、表現が少し違います。
しかし、ピジン英語の表現は、これ以上に違います。
ピジン英語には、いくつかの決まり文句が存在します。ピジン英語の決まり文句は、ヨーロッパや北米の国では使われません。
相手がピジン英語の決まり文句を使った時点で、国籍はアメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアではないことが分かります。
国籍がアメリカ人と言いながらピジン英語を喋る人は、詐欺師です。
詐欺師固有の言い回しで調べよう
英語が母国語ではない日本人にとって、このピジン英語と一般の英語を見分けるのは至難のわざかもしれません。そのため、一番「バレやすい」ピジン英語の決まり文句をリストアップしました。
このリストに書いてあるピジン英語を使う人は、少なくとも英語のネイティブスピーカーではありません。
だから、「アメリカ人」と名乗っている人が、たとえば「ありがとう」と言いたい時に「I appreciate!」と言ったら、詐欺師です。
そして、前にも書きましたが、やりとりが詐欺かもしれないと思ったら、英語を母国語とする友人に聞いてもらうこと。英語が母国語の友人がいなかったら、僕に聞いても構いません。
詐欺に使われる英語の具体例
これからピジン英語の表現をいくつか紹介します。
ピジン英語の表現
ピジン英語 「I appreciate.」
I appreciate.
I appreciate it.
和訳:「ありがとう!」や「〜に感謝している。」
正確な英語パターン→ "「I appreciate ~.」
解説→ "「appreciate」は必ず目的語が必要で、文法のルールとしては、感謝の対象となっているものを言わなければいけません。詐欺師は、「I appreciate!」を「Thank you!」のように使っていますが、これはネイティブスピーカーとしてはあり得ないミスです。
ピジン英語 「Be rest assured.」
Be rest assured.
Rest assured.
和訳: 「安心して。」
解説→ "余計な「Be」を入れるのは文法ミス。ネイティブなら絶対このような間違いはしないので、安心するどころではありません!
ピジン英語 「god-fearing」
I am a god-fearing man.
I am a religious man.
和訳: 「私は信仰心の強い人です。」
解説→ "「god-fearing」は文法上、間違っていませんが現在ではまさに死語、使われない言葉となっています。なぜなら、数百年前の宗教では、「神様は恐れなければいけない存在」との教えが主流でしたが、現代では、神様はもっと優しい存在だと説いている宗教がたくさんあります。
もちろん、いまだに「神様恐れるべし」と強調している宗教もありますが、そのような宗教の信者でも、ネットの出会いの時では「religious」と表現することが主流になっています。
ピジン英語 「true mind」
Tell me your true mind.
Tell me your true thoughts.
和訳: 本音を言って欲しい。
解決→ "「your true mind」という表現はピジン英語です。
ピジン英語 「all my life」
I love you with all my life.
I love you with all my heart.
和訳: 「心から愛している。」
解決→ "一般的な決まり文句は、「with all my heart」です。ピジン英語では、「heart」が「life」にすり替わっています。
ピジン英語 「going to bath」
I'm going to bath now.
I'm going to take a bath now.
和訳: これからお風呂に入る。
解説→ "「going to bed」(寝る)は言いますが、「going to bath」(お風呂に入る)とは普段言いません。ピジン英語では、「お風呂」も「going to ~」になりますが、一般的な英語では「take a bath」と言います。
ピジン英語 「slept off」
I slept off.
I nodded off.
和訳: 「寝てしまった。」
解説→ "「寝落ちした」意味をする一般的な英語には、「I nodded off.」」という表現があります。ピジン英語の「slept off」は「nodded off」の「nodded」を「slept」に変えたと思われますが、ネイティブスピーカーは「寝落ちた」意味で「slept off」と言いません。
「slept off」の本来の意味は、「寝ることで解決した」です。たとえば、
I slept off the hangover.
和訳: 二日酔いを睡眠で解決した。
I was feeling sick yesterday but I slept it off.
和訳: 昨日は気持ち悪かったが、寝ることで解決できた。
だから、「slept off」は要注意です。
I slept off.
和訳: 「寝てしまった。」詐欺です!
I slept it off.
和訳: 「気持ち悪かったが、睡眠とって解決できた。」
解説→ "目的語が必要です。
ピジン英語 「be at the safer side」
To be at the safer side.
To be on the safe side.
和訳: 「安全のために(これをしよう)」
解説→ "間違いは、二つあります。まずは、「at」と「on」の前置詞の混乱です。そして、「safe」が「safer」になっています。
ピジン英語 「cannot eat your cake」
You cannot eat your cake and have it.
You cannot have your cake and eat it too.
和訳: 「ケーキを保存しておくか、食べるか、どちらか一つしかできない。」
解説→ "ネイティブスピーカーの聞き慣れたフレーズは、「have」が最初に来て、次は「eat」となっています。ピジン英語では、この動詞の順番が逆になっています。
ピジン英語・ナイジェリア固有の英語の参考資料
- ナイジェリア英語について (英語、ウェブ記事)
- Who Is the Real Man Behind the Screen? (英語、本)
まとめ ピジン英語
- ピジン英語は、英語が母国語ではない人が喋る、くだけた英語。ミリタリー詐欺師の多いナイジェリアやガーナでよく使われています。
- ピジン英語には、特別の決まり文句がたくさんあります。
- 英語のネイティブスピーカーは、ピジン英語の決まり文句を絶対に使いません。
- アメリカ人・イギリス人・カナダ人・オーストラリア人と名乗っている人がピジン英語の決まり文句を使ったら、詐欺師です。
この記事を読んでほしい人にシェア!
エド先生のプロフィール
- 2冊の著者
- 恋愛や学習のコーチ
- ボキャブラリーの長期記憶を研究中