ミリタリー詐欺のよくある話の一つは、「戦争が怖い。助けて。」という類です。たとえば、
アカデミー賞のようなドラマチックなセリフですが、このような話は100%詐欺です。
「仕事を辞めるための解約料金」は軍隊としてあり得ません。米軍の実際の入隊・除隊の流れを見てみましょう。
アメリカの軍隊は、契約制です。
初めて入隊する際、まず、8年間の契約を結びます。このため、少なくとも8年間、兵士は国のために身を捧げます。
そして、8年間の契約の期間に入り、仕事を始める時に、もう一つの契約を結びます。この2番目の契約は、実際の仕事の契約(「active duty」の契約)です。この契約の期間は、だいたい3〜6年ぐらいです。
契約に署名した以上、期間満了まで、辞めることはできません。
「active duty」契約期間が満了したのち、更新するかどうかは、兵士本人が決めます。更新期間は将校と相談する形で決めますが、最低2年間になります。
繰り返しになりますが、米軍は契約を任意に解約できません。なぜ兵士は自由に辞められないでしょうか?
一緒に考えましょう。もし、兵士が派遣社員のように勝手に辞めたら、戦争の時、怖くなったと言って兵士が辞める可能性もあるので、国の防衛は成り立ちません。そのため、軍隊は任務の期間を契約で定めており、私事で辞めることは許されていません。
もちろん、「逃げる」という手があります。逃げた場合は、「脱走兵」になり、見つけられたら刑務所に入ります。(2000年以降、刑務所期間は長くても2年間となっています。)
どうしても個人の都合で辞めたい場合は、「involuntary discharge」(不本意除隊)か「dishonorable discharge」(不名誉除隊)となってしまいます。この、軍隊ならではの懲戒免職になってしまうと、除隊後の就職が極めて厳しくなります。
不名誉除隊 : レイプや殺人のような重罪を犯した時に適応されます。現役兵士が犯罪をおかした場合、まず軍隊専用の刑務所に入ります。定められた期間が完了すると、不名誉除隊で軍隊から追い出されます。「dishonorable discharge」
不本意除隊 : 「兵士で居続けることが難しい、止むを得ない理由が発生してしまった」時に適応されます。「involuntary discharge」
たとえば、
- 本人の健康の問題(体重管理ができないことを含む)
- 障害者になってしまった(体でも精神的でも)
- 家族の事情(妊娠したなど)
- 何回も指示に逆らった
- 仕事がなかなかできない、あるいはあまりしない、指摘を受けても改善されない
- 違法ドラッグの使用
- アルコール依存、更生も失敗
ソース: 除隊の形式について(英語)
上記のようなことがあった場合、将校の判断にもよりますが、除隊することは可能です。しかし、いずれにせよ、お金は関係ありません。
米軍は、「お金を渡してなんとかなる」といった、賄賂が通じるような組織ではないのです。
まとめ
米軍は、勤務期間が契約で定められています。理由はどうであれ、簡単に辞めることはできません。万が一契約未了で辞めてしまったら、今後の就職がかなり厳しくなります。
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エド先生のプロフィール
- 2冊の著者
- 恋愛や学習のコーチ
- ボキャブラリーの長期記憶を研究中