ビデオ通話は信用できない

写真よりビデオは信用できる?

詐欺師はよく、他人の写真を使います。他の人の写真を送るのは簡単ですが、ビデオなら本人じゃないとすぐバレる…そう思いませんか?

残念ながら技術の進歩はすごいもので、ビデオ通話でも他人になりすませる時代となりました。

ビデオ通話でも、違う人種や性別のフリが可能なのです

動画を再生するビデオ通話ソフト

テレビ局は、たまに「生放送」と言いながら、実は録画されたものを流しています。その倫理についてはさておき、ここで大事なのは「録画したものを生放送として流すことができる」という事実。ManyCamは、ビデオ通話中に録画しておいたものをリアルタイムに流すソフトです。本来、詐欺のためのソフトではありませんが、詐欺師に大人気です。

ManyCamの通話の詐欺は、このようにやっています。

ManyCam通話の詐欺のフロー

  1. モデルを見つける。
  2. ループ可能な動画を数本、モデルに撮ってもらう。たとえば、「笑顔」「手でバイバイをする」「カメラに近づける」など。
  3. ループ可能な動画をManyCamに入れる。
  4. ビデオ通話中に、ManyCamでループ可能な動画をうまくアレンジする。

怖いですね。

ただ、このようなソフトを使っているかどうかを調べる方法があります。

ビデオ通話が偽物かの確認方法

ビデオ通話中、詐欺師の喋っている言葉と口の動きが一致していない時、ManyCamを使用している可能性が高いです

ManyCamは事前に撮った動画を流しているだけですから、「喋っている動画」があっても、実際に喋っている言葉と一致するはずがありません。

チェックすべきポイントは、この三つ!

  1. 彼が喋っている時、口は発音している言葉どおりに動いていますか?
  2. 彼に質問したら、答えるまで時間がかかることがよくありますか?(喋る映像に切り替えるのに時間かかる時があります。)
  3. 数十分、接続が切れずに話すことができますか?(長ければ長いほど通話の詐欺が難しくなるので、なるべく時間をかけて話すと良いです。)

映っている人って誰?

仮に、ビデオ通話に映っている人が「録画しておいたモデル」ではなく、実際の人だとします。この場合、ビデオ通話の人は、今までチャットしてきた「人」と同一人物だと言い切れますか?

会ったことのない人なら、そうは言い切れません。

詐欺師はチームで活動することがあります。

たとえば、チャット相手は数人のアフリカ人がやっていますが、ビデオ通話の時はアメリカ人が出ます。アフリカの詐欺師は儲かっているので、アメリカ人にビデオ通話の出演料を払うこともあり得ます。

だから、ビデオ通話に写真の人が実際に出たとしても、「詐欺ではない」と言い切れません

このような詐欺は「mail-order bride」の業界にもよくあるので、具体例を見てみましょう。

外国人花嫁ビジネス: 日本では、農家の嫁不足に答えるため、アジア人の女性を紹介するサービスを指す。必ずしも詐欺ではないが、事件になることも多少ある。

mail-order bride: 外国人花嫁ビジネスの海外版。アメリカでは、お年寄りの男性が、若い女性にあまりモテないから、それでも若い女性と結婚したい男性はこういったビジネスの紹介で貧しい国の女性と結婚する。

外国人花嫁ビジネスのチーム詐欺

「花嫁に出会うツアー」というのを聞いたことがありますか?ロシアの隣のウクライナという国で、世界各国の男性を対象に、2週間ほど開催され、100万円で参加できます。

このツアーは大規模な詐欺組織で成り立っています。

まずは、ウクライナの出会い系サイトに驚くほどの美人の写真を載せます。しかし、拾った写真ではありません。浮気するつもりのない既婚モデルです。

ブラック企業はこの写真を使い、嘘のプロフィールを作ります。そして、ツアーに参加することを検討している男性が、この「女性」にメッセージを送ると、時給の低い男性スタッフが女性のフリをします。文字のチャットですから、バレません。

そのあと、騙されている男性が「女性」をビデオ通話に誘うと、ブラック企業が写真のモデルだった女性に連絡します。彼女が彼とビデオ通話し、彼を安心させます。事前に彼との今までのやり取りは会社が教えるので、彼女本人とチャットしていないことはバレません。

そして、彼がハマった時に、「ウクライナまで来ない?」と誘い、このような高いツアーを売るわけです。

もちろん、彼がウクライナに着いたら、彼女に会うことはありません。彼女は、旦那さんと一緒にいるからです。ただ、稀ですが、この詐欺をいっそうひどいものにする手口があります。

花嫁ツアーの実際に会う詐欺

ワンランク上のこの詐欺は、交響曲のように細かく工夫しています。

まず、彼女は彼と空港で待ち合わせをします。しかし、彼女は「車の免許がないから」と、タクシーで行きます。そして、タクシーの往復代を請求してきます。

タクシーのドライバーは、彼女の旦那さんです。つまり、タクシー代は、自由に設定できます。100%の取り分ですから、詐欺師としては美味しい話。

その後は、食事に向かいます。騙されている彼は、ウクライナのことを知らないので、彼女が事前にレストランを予約してくれます。

レストランも詐欺師と手を組んでいます。出されるメニューは、レストランの普通の値段の2〜4倍の値段になっています。彼女の取り分は、飲食代の50%くらいです。

ちなみに、このような詐欺は日本でもたまに見かけます。ネットで出会った女性が指定のバーでしか会わないのなら、おそらくこの手の詐欺です。マッチングアプリで繁盛する詐欺なので、みなさまご注意ください。

そして、またタクシーに乗って、「私はいい女だから、初デートでさすがにセックスが早いけど、次回のデートに着るための服を買ってくれない?」と誘ってきます。服を買う店も、レストランと同じように値段を高く設定していて、彼女も買った服の利益の一部をもらっています。

確かに日本の深夜まで営業しているペットショップも、この詐欺をしていますよね。キャバ嬢に惚れたお客さんに、「子犬を買って欲しい」と言います。騙された彼が20万の子犬を買い、彼女が犬と自撮りしてからペットショップに戻し、手間代として10万を頂きます。

あぁ、なんて恐ろしい詐欺!

まとめ ビデオ通話の詐欺

  • ManyCamは、ビデオ通話中に準備しておいたループ可能な動画を流すソフトです。
  • ManyCamを使っているかどうかを確認するためには、喋っている言葉と口の動きが一致しているかどうかをチェックします。
  • ビデオ通話に写真の人が実際に出たとしても、「詐欺ではない」とは言い切れません。詐欺師はチームで活動することがあるからです。
  • 外国人花嫁ビジネスの詐欺も、リアルなモデルを雇うことで、騙される人を安心させます。

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エド先生のプロフィール

Edward Johnson
  • 2冊の著者
  • 恋愛や学習のコーチ
  • ボキャブラリーの長期記憶を研究中