ミリタリー詐欺の偽物の証拠

ミリタリー詐欺の偽物の書類

詐欺師は必ず疑われるので、前もって安心させるための「証拠」を準備します。

たとえば、このようなものがあります。

詐欺師が提示する偽物の証拠

  • パスポート
  • 運転免許証
  • 軍隊に関する契約・資料
  • 子供の医療費の詳細
  • 会わずに結婚するための書類※ 

※ 詐欺師の話によく出てきますが、アメリカでは会わずに結婚することは法律的に不可能です。日本人とアメリカ人が結婚するには、二人が一緒にアメリカで手続きをするか、日本でするかのどちらかです。

ここでの大事なポイントは、証拠を見せても安心してはいけません

なぜ「証拠」で安心できないのか?

遠距離連絡で証拠を提示する「手段」を考えてみましょう。

たとえば、パスポートの場合は、実物を目で確認することはできません。インターネットを通して「パスポートの写真」を確認することしかできません。

スマホの写真アプリを利用したことのある人はわかると思いますが、加工が簡単な時代です。一般人の写真加工も普通に行われている今、写真加工の良し悪しが生活費に関わる詐欺師に、すごい写真加工テクニックがあっても不思議ではありません。

本物かどうかの確認は写真では不可能です。パスポートのセキュリティー機能は、実際に手に取ってから初めて確認することができます。

もちろん、遠距離中は実物を渡すことができません。詐欺師はそれを知った上で証拠として提示しているのです。このずるいやり方に騙されないでください。

偽物のパスポートは闇の出版社で簡単に作ってもらえます。インクジェットプリンタでわりとリアルにできあがります。

覚えておきましょう。身分証明書の写真が送られてきた時は、ほぼ例外なく詐欺です

空港のパスポート確認の仕組み

なぜパスポートは手もとにないと真偽を確かめられないのか?少し科学的な話をします。

パスポートや運転免許証は、本物であることを確認するために、RFIDで調べられます。

RFIDとは、ICカード(電車のスイカなど)の技術の一種です。パスポートの表紙には小さなICチップが埋められています。普段このチップは何も変化しませんが、空港セキュリティーが持っている特別な機械を近くにおけば、ICチップが機械の発生する電波に反応します。(電車のICカードを改札の機械にタッチする時と同じような仕組みです。)

これでなぜパスポートの写真が送られてきても証拠にならないかがわかるでしょう。パスポートの真偽を確認するには、手もとにおく必要があり、また特別な機械も必要です。

さらに、多くの国のパスポートは印刷時に特別な印が付けられています。この印でも真偽は確かめられますが、特別な光にしか反射しないため、写真では確認できません。

よって、パスポートの写真が送られてきた時は、ほぼ例外なく詐欺です

参考: IC旅券FAQ(外務省)

大事な質問「なぜ証拠が必要?」

身分証明書や仕事の契約、結婚に関する資料を相手に見せられた時、「どうやって真偽を確かめるか?」と考える人が多いです。

しかし、その前にもっと大事な質問があります。

「なぜこのようなものを送ったのか?」

これについて深く考えましょう。

日本人女性

信用して欲しいから送ったんじゃないの?

そう、彼はあなたに信用してもらいたいのですが、なぜ?

真剣な恋人だったら、言葉で「信用して欲しい」というのではなく、一貫性のある行動であなたと信頼関係を構築していきます。「信用して」と言わずに、行動で信頼できることを証明します。

証拠の提示は、「信用して」と言っているのと同じです。言葉のように、簡単に嘘をつくことができます。

よく考えましょう。なぜ彼はあなたの信用が必要なのですか?

あなたが彼を信用すると、彼にとってどんな利益がありますか?

詐欺師を信用すると、詐欺師がでっち上げ「事件」が起こった時に、彼の説明を信用して、彼にお金を振り込んでしまう可能性が高くなります。つまり、彼があなたの信用を必要としている理由は、愛ではなくお金のためです。

何回も書きますが、詐欺師のすべての目的は、お金です。証拠を提示された時点で、詐欺師であることは確定です。

偽のウェブサイトまで!?

ずる賢い詐欺師は、銀行のウェブサイトと口座のログイン情報まで事前に準備します。

詐欺詩のセリフ

詐欺師

あなたを心底信用しているから、私の銀行口座へのアクセスを許します。

ところが、「銀行のウェブサイト自体」が偽物です。もちろん、彼の口座も、残高も嘘です。

日本人女性

なぜ詐欺師はここまでするの?

確かに、銀行の偽ウェブサイトを作るのはとても面倒な作業です。しかし、他の詐欺師と共有することで、コストを抑えることができるでしょう。そして、「詐欺師でも、銀行の偽ウェブサイトを作るまではしないだろう」と思っている人が多いため、詐欺師にとっては、ここまですれば、騙しにくい人でも騙せる可能性があります。

口座のログイン情報を伝えてくるのは間違いなく詐欺です

海外では偽物の書類が当たり前?

日本はアメリカに比べて偽物の書類に対する問題意識が低いと思います。

たとえば、偽札です。アメリカの基準となる20ドルのお札は、世界各国の詐欺師が作ろうとしているため、何回もデザインが変わりしました。

偽札が多いため、ガソリンスタンドの現金支払いは、札を一枚ずつ特別なマークペンで確認します。このマークペン、本物のお札なら色は変わりませんが、偽札だと黒くなってしまいます。

(科学の豆知識→ "アメリカのお札は、「紙」でできているのではなく、「繊維」でできています。そのため、洗濯機に入れても大丈夫です…多分。しまった顔 最近の偽札は、インクジェット式プリンタで紙に印刷されているため、見た目は本物とそっくりですが、材料が違い、特別なマークペンですぐバレます。)

そして、アメリカには偽物の身分証明書がたくさんあります。理由は、二つあります。

  1. 未成年が酒を購入するため。
  2. 不法滞在がバレないため。

アメリカではこれらのニーズは極めて高いです。

お酒を購入する時、「40未満は身分証の提示が必要」というルールがあります。大学周辺のバーやクラブは、21歳以上が条件です。このため、運転免許証の詐欺も非常に多いです。

また、不法滞在の人は、就職などの際にアメリカのパスポートか運転免許証と出生証明書が必要になります。パスポートは作りづらいので、偽物の運転免許証と偽物の出生証明書を提示する人が多いです。

出生証明書は単に紙一枚で、普通のプリンタでもなんとかなります。これはパソコンのデータベースなどでチェックされないため、紙が「それっぽく」なっている限り合格でしょう。

運転免許証は、日本と違って、50州はそれぞれ独自のものがあり、自分の滞在している州では普段見かけないもの(遠い州のもの)にするとバレづらくなります。

参考: アメリカに働く身分証明書について(英語)

上記の例から分かるように、アメリカ人は偽物の書類に慣れています。日本ではこの手の詐欺はそれほどありませんが、国際恋愛にはよくあるので、知っておいてください。

まとめ 詐欺師の偽物の証拠

  • 「信じてくれ」と言われ、身分証明書や仕事の契約書を提示された時点で、ほぼ例外なく詐欺です。
  • 証拠の真偽を確かめる前に、「なぜ証拠を出したか?」と考えましょう。
  • 「証拠」となる書類の写真だけが送られても、真偽を確かめることはできません。写真は簡単に加工ができますし、パスポートなどを確認するにはパスポートが手もとにあることと、特別な機械が必要。
  • アメリカでは偽札や偽物の運転免許が日常茶飯事です。
  • 詐欺師は、偽のウェブサイト(銀行などの)も作ったりもします。銀行口座のログイン情報を伝えられたら、間違いなく詐欺です。

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エド先生のプロフィール

Edward Johnson
  • 2冊の著者
  • 恋愛や学習のコーチ
  • ボキャブラリーの長期記憶を研究中