詐欺師が信じる黒魔術

黒魔術の研究について

霊的な話が苦手な方は、この投稿を読み飛ばしてください。次の投稿にいく。

読者様が呪いや、人を遠距離でも操る睡眠術を信じるかどうかは分かりませんが、ナイジェリアとガーナの詐欺師の多くは、こういった「悪の超能力」を信じています。

この投稿は、実際に行われている黒魔術についてですから、このウェブサイトの中でもっとも信じがたい話かもしれません。

ネットは噂話で溢れていますが、僕はデタラメを書きません。また、今回は、霊的な話なので、特に真剣に扱いたいと思います。適当に書くと、混乱を招くだけでなく、人の命に危険が及ぶ可能性があるので、確実な情報を集めました。

そのため、この投稿のほとんどの情報は、3人の教授の研究によるものです。

  • Oludayo Tade氏、ナイジェリアのイバダン大学の社会学の教授
  • Samuel Oyewole氏、ナイジェリアの 国立大学Oye-Ekitiの政治学の教授
  • Jason Warner氏、ハーバード卒のアフリカ研究の博士

主なソースとして、学会誌を参考にしました。学会誌とは、教授が論文を書き、同じ分野の教授が評価をつけ、評価の良いもののみが出版される仕組みですから、信頼性の高い情報です。この投稿の最後に参考資料を載せています。

では、黒魔術の世界に入ってみましょう。

アフリカの国際恋愛テロ組織

ナイジェリアとガーナにはテロ組織があります。テロ組織の背景には、何かしらの宗教やカルトがあります。日本では、1995年の地下鉄サリン事件が、オウム真理教によるものと同じように、アフリカのテロ組織にも宗教ベースのものがほとんどです。

まず、黒魔術の大国であるナイジェリアとガーナの宗教観について少し話します。

世界の経済調査・市場調査のギャラップインタナショナルという会社によると、ナイジェリアは世界の193国のうち、二番目に信心深い国です。(Oyewole 34)

たとえば、受験生は霊媒師レイバイシに頼みます。

霊媒とは、超自然的存在(霊的存在)と人間を媒介することができる人のことです。簡単に言うと、お化けと話せる人です。英語では、「spirit medium」と言います。つまり、ナイジェリアでは、超自然科学がよく信じられています。 (Tade 690)

そして、ナイジェリアには「Yahoo boys」(ヤフーボーイズ)という人たちがいます。「ヤフーボーイズ」の呼び方の由来は、

  • ヤフーメール(フリーメール)のアカウントを使って詐欺をしているから「ヤフー」
  • やっている人の多くは、男子大生だから「ボーイズ」

今はヤフーメールだけではなく、あらゆるフリーメールを使って詐欺をしていますが、最初はヤフーだったから今でも「ヤフーボーイズ」と呼ばれています。 ミリタリー詐欺が流行する前、あまり力を入れなくても詐欺師が儲かった時期がありました。しかし、時間が経つにつれ、人々は詐欺に気づき始め、前に比べて儲からなくなったので、多くの詐欺師はより強力な詐欺方法を探し始めました。

より良い方法を探していた信心深い詐欺師は、パソコンのスキルを磨くより、黒魔術に頼んだ方がてっとり早いと判断しました。それで黒魔術が詐欺の世界に入ったわけです。ナイジェリアでは、このやり方を「Yahoo Plus」(ヤフープラス)と呼んでいます。

「ヤフーボーイズ」「+」「黒魔術」だから「ヤフープラス」です。

ガーナにも似たような男性のグループがいます。「Sakawa Boys」(サカワボーイズ)と呼ばれている人たちです。

  • Sakawa」(サカワ)は黒魔術の宗教のようなものです。
  • 「ボーイズ」はナイジェリアと同じく、やっている人のほとんどが男子大生だからです。

ナイジェリアでは「ヤフーボーイズ」が黒魔術を取り入れて「ヤフープラス」になりましたが、ガーナは最初から「サカワ」という黒魔術が詐欺の一部でした。

黒魔術というと、具体的にどのようなものでしょうか?

被害をもたらす「お守り」

ナイジェリアには「お守り」がたくさんあります。日本の神社のお守りは「交通安全」「合格祈願」「厄除け」など災いから身を守るものですが、ナイジェリアはもっと幅が広く、「お守り」と「呪いの札」が同じところに並んで売られています。

ナイジェリアのお守りの例

  • 「人気者になる」
  • 「一夫多妻制の妻たちの喧嘩をなくす」
  • 「弾やナイフの被害を最低限にする」
  • 「尋問の告白率を上げる」
  • 「呪いをかける」

参考: (Tade 691, 698)(英語)

ナイジェリアの霊的な考え方によると、お守りは不完全な手段です。「身につけるだけでことがうまくいく」というようなものではありません。

また、魔術の力は、使う本人を消費していく恐ろしいものです。そのため、お守りはなるべく使わない方が良いと言われています。お守りに頼りすぎると、使用中は物事が一時的にうまくいくかもしれませんが、魔術のエネルギーが消費されると、いずれ自分もその魔術のエネルギーに消費されることになってしまう…このように考えている人はたくさんいます。

消費されるとどうなる?

  • 突然の死
  • 精神的に狂ってしまう
  • 体が変形する

上記のような恐ろしい力があると言われています。 (Tade 701)

人々は、こういった力を手に入れることができると信じているから、呪術師に言われたことをします。たとえば、一晩、ひつぎで過ごす…死体の隣で!(Warner 743)

日本人女性

ちなみに呪術師って何ですか?

呪術師: 資格のない医者・占い師・魔法を使えると言っている人のことです。英語では「witch doctor」と言います。占い師のように、信じている人が多いですが、力を証明する科学的な証拠はありません。また、国の学校で学ぶようなものではないため、学位のような証拠もありません。

「呼吸」と「痩せる」ことで呪われる

ここからのセクションは、内容がかなりグロテスクなので、苦手な人は飛ばしてください。グロテスクな部分を飛ばす

国際恋愛に使われる呪いの種類がたくさんあります。全部をまとめて説明すると、それだけで本が一冊完成してしまうぐらいの内容ですので、ここでは代表的な二つの例を紹介します。

  1. 呼吸の呪い
  2. 彼女に痩せてもらう呪い

まず、呼吸の呪いについてです。

呼吸の呪いは「Ase」と呼ばれている黒魔術です。「Ase」は、「生命力」の意味ですが、儀式を行うことで、「生命力」そのものを握ることができると言われています。

呼吸の呪いの儀式を説明します。まず、事前準備として、詐欺師は被害者の本名を調べます。そして、呪術師に儀式を頼みます。

呪術師が詐欺師の口のあたりをナイフで切ります。口を切ると、「被害者が自分の言いなりになる」と言われています。

それから詐欺師は呪術師の指示に従い、ターゲットに呪文をかけます。本名を唱えて呪文を「空気」にのせます。この呪文は、「空気」で動くため、被害者が呼吸している限り、逃げられないということです。 (Tade 699)

生きている限り届く呪い、怖いですね。

そして、次の「彼女を無理やりに痩せさせる呪い」を紹介します。

これは男の詐欺師が付き合っている女性と協力してかける呪いです。まず、二人が闇の神社に行き、「詐欺の儲けを分ける」契約を結びます。そして、彼はマッチングアプリなどでターゲット(海外にいる女性)を見つけます。彼がチャットし始めると彼女は断食し始めます。「彼女が痩せると膨大な金額が出る」と言われているからです。

彼がターゲットと甘い会話で関係を築いていく間、彼女はずっと頑張って痩せます。まるで取り憑かれたように、すごく痩せようとします。痩せれば痩せるほど、痛ければ痛いほど、もらえる金額が大きくなると信じているからです。そして、彼は被害者のお金を手に入れると、彼女は断食を止め、詐欺師のカップルは、手に入れたお金で遊びまくります。(Tade 700)

これでも十分にひどいと思いますが、怖いことに、この2種類の呪い以上に残酷な習慣もあります。罪のない第三者が殺されている「生贄」です。

まさかの人間生贄も!?

アフリカの誘拐事件の半分ぐらいが、ナイジェリアで発生しています。(Oyewole 43)ナイジェリアはアフリカ大陸の総合人口の15%に過ぎないのに、アフリカ大陸の50%の誘拐事件がそこで起きています。

10年間で4,000人以上が誘拐で行方不明になっています。このほとんどは、「ritual killing」(儀式のための殺人)の被害者と考えられています。(Oyewole 35)

ritual killing」 : 死体の一部を宗教の儀式に使う目的の殺人です。膨大な力・愛・金を手に入れるために、それに値する代償(人間の生贄)が必要と信じている人は少なくありません。前のセクションの「呪いをかけるお守り」も、人間の体からできているものがあります。

残酷な話ですが、生贄として体のパーツを奪い取られる場合、その被害者が必ずしも殺されると限りません。人を誘拐し、体の一部を切り取り、そのまま道端で捨てられることもあります。生きたままの人間を生贄にするなんて、あまりにも酷く、多くのナイジェリア人が誘拐を凄く怖がっています。

生き残る人の運命は、取り返しのつかない傷を負い、狂人、植物人間になるなど、不幸なものばかりです。(Oyewole 44)

儀式で切り取られた体のパーツの使い道は「飲み薬」や「お守り」です。ナイジェリアでは、体のパーツからできている飲み薬は万能だと信じている人が多いです。(Oyewole 46)

体のあらゆるパーツが儀式に使われます。たとえば、

  • 性器
  • 乳房

などが一般的です。(Oyewole 36)

誘拐は違法行為ですが、肝心の警察は法律を駆使する能力が不十分。警察の腐敗で一度捕まっても裁判になる前に無条件で解放されることもあります。(Oyewole 45)

ただ、日本でも「援助交際」が、実際に行われていても、一般的に賛同されていないように、アフリカで、人間を生贄にする儀式が行われているのは事実ですが、一般的ではありません。

生きたままの解剖

実際に起きた誘拐事件を見てみましょう。「生きたままの解剖」は、グロテスクな話なので、苦手な人は飛ばしてください。次のセクションまで飛ばす。

  • 男が男子(7歳)を誘拐し、目玉を取った疑いで逮捕された。男は、有力な政治家に儀式の材料を頼まれたと告白した。2006年。
  • 8ヶ月の双子のお父さん(23歳)が赤ちゃん二人をお母さんから奪い、儀式のために殺した。2010年。
  • 女子(13歳)が男性(18歳)に窒息させられた。男性は、儀式のための「死亡時の糞便」を牧師に頼まれたという。糞便への報酬は、約3万円だった。2013年。
  • 35歳の女性を殺し、性器を切り取り、頼まれた人に約20万円で売る計画で4人の男性が逮捕された。2014年。
  • 男性(36歳)が父親(56歳)を斬首し、儀式のために血を飲んだ。2014年。
  • 5人の男が病院に忍び込み、儀式のために「生まれたばかり」の赤ちゃんを誘拐しようとした。2014年。
  • 性器を儀式に使うため、女性(80歳)が殺された。2014年。

ソース: Oyewole 42-44(英語)

呪いをかけられる前に縁を切る

何回も書きますが、相手が詐欺師と分かった時点で、迷わずに即ブロックすべきです。「時間を稼いで、もっと調べたい」「復讐したい」などは極めて危険です。

詐欺師は、心理学を悪用するプロです。それだけではなく、この投稿で説明したように、黒魔術を使うこともあります。

読者のみなさんが、黒魔術を信じるかどうかは分かりませんが、ともかく詐欺師は信じています。そして、信じているから、呪術師に頼み、最悪の場合、罪のない第三者が殺される可能性があります。

つまり、あなたが詐欺師に騙されなくても、話し続けるだけで、詐欺師が黒魔術の儀式に参加して、他の人の命が奪われてしまう可能性があるのです。たとえ、あなた自身も被害者だとしても、自分が巻き込まれたことで、死んでしまう人がいるなんて考えるだけで怖いですよね。ですから**、詐欺に気づいた時点で、迷わずに即ブロックしましょう**。

万が一、人が殺されても、もちろんあなたのせいではありません。しかし、あなたのチャット相手が、殺人も起こしかねないような事件に積極的に参加すると思うと、あまりにも恐ろしいことです。即ブロック!

黒魔術の参考資料

全部は英語です。学会誌ですが、無償でダウンロード可能です。

まとめ 詐欺師が信じる黒魔術

  • 詐欺だと気づいた時点で、なるべく早く縁を切りましょう。
  • ガーナやナイジェリアも信心深い国です。黒魔術が存在すると思っている人も多いです。
  • ナイジェリアの「お守り」は「呪いをかける」こともでき、使っている本人を狂わせる力があると信じている人が多いです。
  • 「お守り」は生贄(殺人)となった人間のパーツで作られていることがあります。
  • 詐欺師と話すと、あなたに黒魔術をかけようとする時があります。
  • 自分が黒魔術などを信じなくても、詐欺師が信じているので、詐欺師が呪術師に頼むと第三者が被害にあってしまう可能性があります。

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エド先生のプロフィール

Edward Johnson
  • 2冊の著者
  • 恋愛や学習のコーチ
  • ボキャブラリーの長期記憶を研究中